20083月予算議会は、227日開会、6710日は一般質問、1112日に予算審査特別委員会、

14日は議案審議・採決・閉会の日程で開催された。一般質問には13名が登壇し、広範な問題について議論が行われた。新たに取りかかる野外芸術文化ゾーン事業(用地買収・シンボル建設の設計など)の47000万ほどを削除する修正案を、市政・社民クラブメンバーが提出したが、高志会や明政一心会・公明党メンバーらの反対で否決された。

 

1、学校の耐震調査結果とこれへの対応策について 

 

 大きな建築物を始め数千の住宅が倒壊して、6000人以上の犠牲者を出した平成7年の阪神・淡路大地震を受けて、国は「建築物の耐震改修を促進する法律」を制定したが、その後も平成16年の新潟県中越地震、翌17年には福岡西方沖地震が発生するなど大地震が続発し、大きな被害を出して来た。

更に、東海地震や東南海・南海地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都圏直下型地震などの発生が切迫していると言われ、もし発生すれば、人的にも物的にも甚大な被害が出ると予想されている。

 このような国内情勢の下、中央防災会議は「建築物の耐震化緊急対策方針」を平成17年9月に決定し、全国的に取り組むべき「社会全体の緊急課題である」と指摘した上で、将来、東海地震や東南海・南海地震が発生した場合に、平成17年時点で予想される被害規模を、10年後の平成27年までに、その被害規模を半減させる…という地震防災戦略を打ち出し、そのためには、構築物の改修整備などを緊急かつ優先的に取り組むべきだと警鐘を鳴らしている。

 このような方針の下で耐震の具体的な数値や指標を示し、国、地方公共団体、企業、一般国民全体で取り組むことを求めている。

 特に公共建築物については、災害時に学校は避難場所として利用されるし、病院は負傷者の治療に、市役所や合同庁舎など、国や地方の建物は、災害情報の収集や被害対策指示拠点として活用されることから、平常時の安全確保だけでなく、災害時の拠点施設としての機能確保も考えた耐震性が求められている。

 このような考えや経過の一環として、学校の耐震調査やそれに伴う改修が行われるものである。

 当市でも平成19年度に、建設年次の古い学校から順に、法奧小、十和田湖小、三本木中の3校舎の耐震性を調査した。その結果は、12月の決算審査の時にも一部答弁で示されている。

 改めて調査結果を見ると、調査した3校とも、予想に違わずというか、やはりというべきか、耐震性は低く、改修が必要と指摘され、改修設計費が20年度予算に計上されたところである。

 学校は子供たちの生活の場であり、長時間滞在している場所でもある。もし強い地震が発生すれば、毎年避難訓練をしているとしても、校舎が倒壊しないか、窓ガラスが降ってこないか、避難時に転んでけがをしないか、など、親は勿論、教師にとっても大変心配なことである。従って、学校・校舎は他の公共物以上に、耐震性は確保され、安全でなければならない。と私は考えている。

 そこで今後の対応について何点か質問する。

 

質1 新年度予算を見ても一番危険性が高い法奧小学校の体育館をどうするのか。何も見えない。直ちに設計を組んで建設に取りかかるべきでないか。

答弁 法奥小の屋内運動場は、構造が鉄骨組み立てリベット接合の柱・梁になっており、今の補強方法である溶接・高力ボルトでの耐震力増強は困難であることから、立て替えが必要となった。そこで平成21年度改築設計、22年度改築工事を実施する考えである。

質2 法奧小校舎、十和田湖小、三中は、20年改修実施設計、21年度改修工事と理解していいのか。

答弁 そのように進める考えである。

質3 調査結果がISやQの数値で出されているが、これはどの程度危険な状況なのか。

答弁 IS(構造耐震指標)とQ(水平耐震力)を測定し、震度6強から震度7程度の大規模地震に対して、建物が倒壊または崩壊する危険性を判断するものである。IS値が0.3未満、Q値が0.5未満であれば、その危険性が高い。IS値が0.3から0.6Q値が0.5から1.0では、その危険性がある。IS値が0.6以上で、Q値が1.0以上の場合は、その危険性が低い。というもので、IS0.3未満は、法奥小の屋内運動場と三本木中の昇降口及び中央廊下だった。0.3から0.6の学校もあり補強工事が必要と判断し、20年度に実施設計、21年度補強工事の計画で進めている。なお、法奥小屋内運動場は建て替えとなることから、21年度実施設計、22年度建設と考えている。

質4 学校以外にも、教育関係施設で古いものがある。これらの耐震調査については、どうする考えなのか。

答弁 耐震化対策を必要とする昭和56年以前に建築された施設は、志道館、市民屋内グラウンド、南屋内グラウンド、相撲場、十和田湖総合運動公園体育館、中央公民館、南公民館、十和田湖公民館、市民図書館、十和田湖図書館の10施設がある。これらの施設については、今後、それぞれの利用計画を踏まえながら、利用者の安全、施設の安全性を図ることで対応を考えていく。

質5 20年度は、ちとせ小と甲東中の耐震調査の予定だが、今後順々に調査すれば、学校の耐震指標は0.75だから、全部に補強の必要性が指摘されると思う。財政的に大丈夫か。

答弁 耐震化に伴う財源については、基本的には一般財源の負担を少なくするために、補助事業を活用しながら、実施に当たっては年次計画を立てて、負担の平準化を図って進めていく考えである。

 

 

2、野崎地区の農振除外の考えについて

 

 十和田市は米の生産量で比べても、つがる市、五所川原市、青森市などと並び、19年の生産高でも23,100トンを生産し農業中心のまちである。現在でも農業を基幹産業と位置づけており、これまでも農業振興に多大な力を注いできた。

 しかし、農業を取り巻く環境は、米価の下落、営農者の高齢化、跡継ぎ不在、放置耕作地の増大などと、年々厳しさを増し、地域によっては崩壊寸前の状態にあるといっても過言ではない状況にある。

 一方商工業に目を向けると、バブル崩壊後の国内経済は暗いトンネルの中にあったが、ここ数年は、一部中央大手輸出企業を中心に、戦後最大の好景気と言われ、高い利益を挙げていると言うのに、地方にはその恩恵が届かず、不景気感を払拭出来ないでいる。そしてこの間に、どこの商店街も衰退が進み、大資本、チェーン店方式の大型店が地方都市の郊外に進出し、客足を引き、既存商店街のシャッターは降りたままで、回復の兆しは一向に見えて来ない。

 当市の状況もこの例に漏れず、南側の相坂地区の大型店進出を始め、北側の駅前から洞内方面までの開発、西側は規模は小さいものの西金崎地区のスーパー進出、そして東側は、野崎地区に青果市場始め

食肉センター、ガソリンスタンド、ジャスコなどが出来、ここ数年、急激に開発・出店が続いている。この地区は交通面からも4号線バイパスと45号、102号線との交差など、物流を伴う産業や企業にとって便利な場所である。東西南北どちらにも幹線道路が出ており、流通上この上ない有利さがある。今後も食肉関連企業や農産物関連企業、大型店の出店があるかもしれない。

 ところで、この野崎地区は十和田市の都市計画では無印で特に指定はない。商工業の進出、開発などで特別の位置づけも無く、自由である。しかし現状を見れば、明らかに開発地域的状況を呈しており、拠点と言え得るのではないだろうか。

 当市にとって、農業は基幹産業であり、市の産業の構成、育成の面からも農業振興は大変大事であるが、現状から見て、農業だけに頼るのでは将来展望もなかなか開けないし、この際、産業構成の流動化を受け入れ、野崎地区に更に企業進出が容易になるように、何か手を打つべきでないかと考える。

そこで質問する。

 

質1 野崎地区は、交通面での有利さか、無指定のためか、近年企業進出が著しい。この際、この地域の「農業振興地域指定」を解除すべきと考えるが、市の考えはどうだろうか。

答弁 農振除外を行うに当たっては、市は地権者等からの申し出を受け、除外の適否を判断することに

  なるが、除外の要件は何点かある。1つは転用することが必要かつ適当であって、農用地区域以外に代替地がないこと。2つめは農業上の効率的な利用に支障がないこと。3つめは土地改良施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないこと。4つ目は土地改良事業の完了後8年を経過していること、などである。

   野崎地区は、相坂平土地改良事業を平成12年度に完了しているが、まだ8年を経過していないので、すぐには農振除外が出来ない。今後、周辺の土地利用状況や社会的経済的状況や関係機関の意見を踏まえ、判断することになる。農地転用を伴うので、農業委員会とも十分連携して対応する。

質2 現時点での、この地域の市経済に与える影響度、位置はどの程度のものか。

答弁 市経済の位置付けは、金額的には把握していないが、食肉等の関連製造業が多く、野菜等の流通の拠点であり、十和田産の野菜類の発信地となっている。また大型の郊外店もあり、更に週末には定期的に「市」が開催され、事業所等もあり、一定の経済活動のある地域と認識している。

質3 いずれにせよ、個別の開発に伴う地目変更は、農業委員会の仕事である。経済活動が活発化している野崎地区の地目変更には、農委して配慮があるのか。

答弁 地目変更は、具体的な計画がなければ難しい。必要不可欠の変更か、実現性は確実か、除外後の

  影響はどうか、などから判断することになるが、農振除外が先だ。

 

 

3、ローカルマニフェスト作成への公的支援について

 

 来春早々に、十和田市は市長選を迎える。誰が出るのか。何が争点になるのか。どのようなまち作りを示してくれるのか。どんな政策を訴えるのか。私は強い関心を持っている。

このようなことについて、当市には選挙公報の制度があり、他市よりは少しは進んでいるのではないかと自負している。

 ここ数回の国政選挙で、各政党からマニフェストが出され、有権者に対して、政策内容、財源、実施時期などを約束するようになってきた。これは、平成15年秋の第157回臨時国会でマニフェストの頒布を選挙運動として解禁する公職選挙法の改正が行われ、第43回総選挙から認められたものである。このことは民主主義の観点からも歓迎すべきことであり、私は更なる発展を望むものである。

 従来、選挙の際に候補者や政党が掲げる公約が、ややもすると耳障りのよい政策の総花的な羅列で、具体性に欠け、その場限りの無責任なものもあると批判されることが多かった。こういう我が国の選挙公約の在り方に対し、政党を中心に、もっと具体的な政策綱領、即ち、政策についての数値目標、実施時期、達成期限、裏付け財源なども明示した責任ある政権公約にすべきだと、イギリスなどで定着しているいわゆる「マニフェスト」を導入しようとの議論が平成15年春頃から始まり、各政党も積極的に動き、総選挙を控えていたこともあって、与野党が急遽合意し、公職選挙法の改正につながったものだ。

 本来マニフェストとは、宣言という意味があり、政党の政策綱領とか政権公約、政治契約と訳されているが、従来の公約との違いは、具体的な数値目標、実施時期、達成期限、財源なども明示することで、

有権者が選挙後でも、その実行具合を点検、評価出来るところにある。

 さて、ローカルマニフェストについては、平成15年の公選法改正では国政選挙に限られていたが、「地方選挙についても解禁せよ。」との声が強まり、平成19年の統一地方選を機に法改正が行われ、いわゆる首長選挙について「ローカルマニフェスト」が解禁されたものである。ただし、国政選挙とは異なって、政党や政治団体のパンフレット発行方式ではなく、候補者の選挙運動用のビラの頒布が認められただけに過ぎない。また議員については、なお議論すべきことがあると解禁は見送られている。

 今回私が提起する「ローカルマニフェストの公的支援」とは、長野県小諸市で制定した方法をまねたものだが、出来れば、次の市長選からでも実施できればと考えての提起である。

 この制度は、公職の選挙に立候補を予定している者が「マニフェスト」を作成する場合に、十和田市情報公開条例に基づく情報提供施策の一環として、立候補予定者に、市が保有する各種計画等の情報を公平に提供することにより、よりよい「マニフェスト」作成の促進を図り、市政への市民参加の推進と

市政への市民の理解を深めることを目的とするものである。

 小諸市の例では、提供する情報として、〇市の総合計画 〇市の各種計画 〇市の予算書及び決算書〇市の例規集 〇市議会の議事録 〇市議会議案 〇市の発行物 〇その他市のホームぺージに登載されている情報 となっており、現在でも公開していりものばかりである。その上、印刷の場合は1枚10円と有料である。従ってやろうとすれば、今行っていることを整理して動くだけでいい。これでも、一般市民から見れば、ずいぶん違うと思う。どんな人が立候補しても、公平に市政を議論できるように

することはいいことだし大事なことである。そこで質問する。

 

質1 小諸市のような「ローカルマニフェスト作成への公的支援」を行う考えはないか。

答弁 当市では、既に、総合計画や各種まちづくり計画、予算書、決算書、市刊行物等は、市のホームページや公文書開示コーナーで閲覧できる体制を整えている。また公文書については情報公開制度で開示しており、立候補予定者でも誰でも必要がある場合には、現行制度で資料入手は可能と考え、

  改めてローカルマニフェストの公的支援の制度を制定する考えはない。

質2 この制度に対する選挙管理委員長の見解を聞きたい。

答弁 選管としては、各種情報が公開され、有権者にマニフェストの内容が理解され、投票率の向上につながることを望んでいる。小諸市の制度については、宿題として勉強させていただきたい。

 

 

       予算審査特別委員会での杉山の主な発言と答弁の要旨

 

質 中国残留邦人等支援相談事業費225000円計上しているが、どんなことをしているのか。

答 帰国者の相談に応じたり、生活指導などを行っている。

 町内の若葉団地にも中国帰国者がいる。子供たちは、日本の言葉を覚えて立派に成長しているが、大きくなってからの帰国者は、言葉が障碍になっている。従って仕事もなく、結局生活保護を受けることになる。

  そこで提言するが、今、十和田湖観光に台湾や韓国からの客も多いと聞く。先日も台湾の中学生が農家に民宿した。観光地の方々や民宿経営者に、中国語を教えることは、今後重要になってくる。

  生活保護で生活できると言うだけでなく、生きがい、社会に役立っている、必要とされている実感、こういうことが人生には大切だ。民生部の担当者や観光課の担当者で協議をして、こういう方々をも役立てることを考えてくれ。そうすれば、生活保護費が減り、別の項目から賃金を出すだけで新たな財源を要しない一石二鳥の仕事になる。

答 いろいろ研究してみたい。

質 財政健全化法が制定され平成20年度決算から、四指標(実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費比率・将来負担比率)を公表することになった。そこで要望するが、将来負担比率は具体的にどのような数値を求めることになるか、まだはっきりしない。単年度負担額なら他の指標でも表されるので、残高と返済期間などを求めることになるのでないかと思われるが、起債残高は、起債の種類により、国からの充当額もあるため、単純な残高では正確とは言えない。そこで十和田市の場合、現行法の下で、起債残高と見込まれる充当額か、実質負担額か、を集計整理してくれ。

答 今でも、そのような計算をしている。現在の起債残高は約753億あり、このうち国から充当額は

 353億(47%)ほどが見込まれる。

質 バス事業の規制が緩和され、競争が激しくなっている。スキー客の事故や八甲田でもこの冬事故が起こった。利用料金が安くなり、安全面の手だてが薄くなっているからだと言われている。そこで、

 子供たちのバス旅行時に、あまり値切ると、安全面の心配があるから、「極端に値切るな」との通達が出ていると思うが、届いているか。

答 そういう通達は来ているので、趣旨に添った指導をする。

質 現代美術館の運営で、企画展を予定しているようだが、どういう内容か。

答 4月26日のオープン当初、オノヨーコさんの作品数点を特別に展示して、宣伝する考えだ。

質 我が会派では、広島県三次市の「奥田元宋・小由女」美術館を視察してきた。地元出身の文化勲章受章の日本画家と人形作家の奥さんの作品を展示してある。平成18年度からのオープンで、初年度は25万人の入館で約8000万の黒字だった。19年度は約半分の入館者だろう。少し赤字か。と話していた。そしてここでは、営業マンを置いて、中国地方・四国・九州北部の旅行社を回っているそうだ。現代美術館ではそんなこと考えているか。

答 営業マンではないが、名誉館長を依頼して、中央でマスコミを中心とした宣伝を考えている。

質 いくら名誉館長でも、関係ない番組では、宣伝できないだろう。語らなくても宣伝出来るように、着るもの、持ち物、かぶるもの、飾るものなどで宣伝になるよう工夫したらどうか。

答 関係者で検討してみる。

質 現代美術館の宣伝方法だが、今はインターネットの時代だ。青森県観光とか・十和田湖・十和田市・美術館・展示作品の作者名など、どこからでも繋がるような仕組みが弱いと指摘されたことがあった。私は詳しくは分からないが、広く繋がるようにすべきでないか。

答 宣伝は広がる方がいいので、いろいろ検討する。

 

 

 

 電源立地地域対策交付金(電源三法交付金)の活用について

 

毎年、約6億の収入を活用する電源三法交付金活用事業については、これまでとかく批判が多かった。これまで、官庁街付近の整備や道の駅建設などに使ってきたが、高森山の温泉施設建設(否決されて、凍結となった。)や野外芸術文化ゾーン事業は、そうだった。

 我々も市民の声を受けて、反対の先頭に立って来たが、翻意は出来なかった。

 しかし、市長も考えたのだろう。先日、今後の「電源立地地域対策交付金」の活用について、議会側に説明があった。内容は概ね了解できるものであった。

 

活用に当たっての基本的な考え】

@ 引き続き、次の視点で産業振興やまちづくり事業に活用する。

 ・総合計画に定められている事業

・従来どおり「まちづくり」に不可欠な事業

・公共施設の管理運営(光熱水費等)

A 公共施設の維持補修資金を設ける。

・公共施設の修繕に対応する。

B 他の助成事業の対象にならないもの。

 

事業決定の手順】

@ 施設の維持管理や修繕、軽微なソフト事業等に活用する場合は、毎年度の予算審議の場で説明して

いきたい。

A 新たなまちづくり事業や公共施設の整備に着手する場合は、別紙のフローにより市民の意見を踏まえ決定する。

 

事業選考フロー】(新選考基準)

@       市の実施予定原案作成

↓*市議会協議会(説明・意見聴取) 

A       実施に関する意見交換会…(仮称)十和田市電源立地地域対策交付金活用検討委員会

B 意見のとりまとめ、実施案作成…青森県及び東北経済産業局協議

C パブリックコメント(広く市民から意見を求める)

D 市議会全員協議会への報告

E       電源立地地域対策交付金実施事業案決定(基本計画・実施設計・工事実施等)

 

 

 

 

 人生は努力…方程式

 

 先日読んだ「人生の王道」/西郷南洲の教えに学ぶ/稲盛和夫著(京セラ創業者)におもしろいことが書いてあった。稲盛氏は鹿児島県出身なので、西郷南洲には特別な尊敬の念を抱いているのだろう、自分自身の京セラ創業時からこれまでの経営者としての行き方、困難に直面した場面での生き方などと西郷さんの遺訓を対照しながら、人生や仕事で大切なことを説かれた内容だったが、なるほどと思われるものばかりだった。

 そこで、その中から1つだけ、皆さんの参考になればと考え、転載してみる。

 「人生や仕事(結果)=考え方×熱意×能力」という方程式である。これは稲盛氏の考え方である。

 これは、「人生や仕事の結果」というものは、「考え方」「熱意」「能力」という三つの要素の掛け算で決まってくるというものだ。和ではなく積でかかって来るから、結果が数倍で変化することになる。

 数値化できるとすれば、能力と熱意は0点から100点まである。例えば、良い学校を出て優秀な成績で卒業した人がいるとしよう。能力は人並み以上だから、それを80点としよう。ところがその人は頭がいいことを鼻にかけ、真面目に一生懸命努力しようとしない。だから熱意を30点と見たとする。この場合は、80点×30点=2400点となる。

 一方には、一流大学を出たわけではなく、成績が良かったわけでもない人がいたとする。能力は並みの60点くらいだけれども、それを補おうと一生懸命に努力をしている。だから熱意点を80点と見る。

この場合は、60点×80点=4800点となる。優秀だが努力を怠った人に比べて二倍の結果を生むのである。稲盛氏は、人生や仕事の結果とはそういうものだと思う。それゆえに、彼は誰にも負けない努力が大切だと信じ、それを信念として生きてきた。と述べている。

 そして、何よりも大切なものは、考え方だという。考え方とは、人が生きる姿勢であり、哲学、思想、理念、信念、あるいは人間の志、心がけと言っても良い。人格を形づくるもののことである。

 肝心なのは、この考え方はマイナス100点からプラス100点まであることだ。つまり、どんなに才能があっても、どんなに努力したとしても、その人の考え方次第で人生や仕事の結果が大きなマイナスにもなってしまう。

 良い考え方とは何か。思いつくままに挙げると、前向き、建設的、協調性がある、明るい、肯定的、善意に満ちている、思いやりがある、優しい、真面目、正直、努力家、利己的でない、強欲でない、足ることを知る、感謝の心を持つ、などか。

 悪い考え方とはその逆で、後ろ向き、否定的、協調性がない、位、悪意に満ちている、意地が悪い、他人を陥れようとする、不真面目、うそつき、傲慢、怠け者、利己的、強欲、不平不満ばかりを言う、人を恨む、人を妬む、などだろう。

 良い考え方を持つのか、悪い考え方を持つのか。人生や仕事の結果というのは、その人が持っている心の様相、考え方により、大きく変わってしまう。(後述略)