2007年6月議会

 

6月十和田市議会は、知事選があったため例年より1週間ほど遅れて、6月15日開会、29日閉会と15日間にわたって開かれた。今議会では、伝法寺地区住民から出されていた「伝法寺金目に建設される産業廃棄物焼却・焼成施設の建設中止を求める請願」の採決が行われ、請願採択(建設中止)の賛成者が少数で不採択となった。また、現在建設中のアートセンター内に設置するアート作品やアート建設の入札が終わり、これの契約案件が追加提案され、東京都の(株)丹青社と4億9770万円で契約することが承認された。

 最終日には、議案審議・採決が行われ、提出案件は全部原案通り可決された。

 その後、畑山親弘議員が全国議長会から勤続15年表彰され、これの伝達があった。

 

〇次の37億は何に使うのか

 電源三法交付金事業は、現在、アートセンターを中心とした「野外芸術文化ゾーン事業」を建設している。しかしこの事業も当初の予定を変更して、平成21年度に旧ハローワーク付近跡地に作る予定であったシンボルアートを取りやめ、4年間で終了することが示された。もちろん主たる理由は、教育・福祉プラザを建設する場所として選定したためである。

 しかし私が思うに、市長としては言い難いだろうが、「この財政の厳しい折、無駄な事業はやめろ」、「もっと市民が必要としている事業、市民が求めている事業に金を使うべきだ」、「第二の夕張市にならないのか」などの市民の心配の声やこれまで議場で交わされた多くの議論を汲んだ結果だと見ている。そしてこの決定は正しい判断だったと思う。昔から「過ちを改むるにはばかることなかれ。」の格言があるとおりだ。

 そして今進めているアート事業は、20年度にアートセンターのオープンを始めとして、税務署跡地への作品建設や東北電力東側空き地の購入と建設する作品の実施設計を、21年度には、そこへの建設と継続して進む。

 そして一方では、次の電源三法交付金事業をどう進めるのか、何に使うのかなど基本的事項を決めなければならない。5年間分の32億にプラス今回残した5億で37億事業とするのか、37億予算をいくつかのこま切れの事業とするのかなどである。その上、事業を切れ目なく進めるためには、平成20年の秋口までに基本的考えや構想を示さないと、県や国への説明、事業申請が間に合わなくなる。

 今回のアート関連事業では、たくさんの疑問の声が出された。私どもの調査でも市民の多くが反対していたし、市職員も議員の多くも、本腹では反対していたと私は見ている。そこで、これからの事業を市長はどう進めるのか。オンリーワンを目指し、また真新しい事業を強引に進めるのか。しかし市民が望まないおかしな事業は許されないと思う。財政も予想を超えて厳しい状況だから、ここは一つ市民合意、議会とも十分協議をして、スムーズに事を進めることを願っている。

 私はそういう考えから、今後の電源三法交付金を活用した事業は、最初から市民要望を吸い上げる手法を取るべきだと考える。

 これまでにも述べて来たように、本来、各家庭の電力料金の軽減のための財源を使って進める事業だからという面と、この事業に関しては、議会での反対意見も結構あったことの反省も踏まえてのことである。お互い、少しは賢しくなろう。

 そこで何点か質問する。

質1 市長は今後、電源三法交付金を使って、是非、進めたい取り組みたい、公約として進めなければならないという事業があるのか。

答弁 電源三法交付金制度は、平成15年度から各種の制度が統合されて、電源立地地域交付金制度となった。そして、公共施設の運営管理費や産業や地域の活性化に使えるようになった。現時点では次の交付金の使い方は決めていない。基本的な考え方を決めてからになる。

   私の選挙公約は、新総合計画や合併協定書に記載されている内容がそれに当たる。

  また、教育福祉プラザもあるが、これはどの財源を使うか決めていない。

質2 広く市民の声を集めるような手法で、電源三法交付金を活用した事業を進める考えはないか。

答弁 基本的な考え方が決まった後、市民の意見、パブリックコメントや議会の意見も聞いて、何にするかを決めたい。

質3 私の意見としては、一般財源化(これは普通財源のように一般会計に組み込んで、何にでも使えるという考え方ではなく、地方自治法に定められている市民生活に是非必要な事業、即ち道路とか学校とか病院とかというようなことに、電源三法交付金の制度的条件に合わせて進めるということを指す。)して、今是非とも進めなければならない事業、大口では旧十和田湖町の上下水道事業とか、西小や米田小の建設とか病院建設の一部に回すとか、産婦人科医獲得のために新しい事業制度を立ち上げるとか、いろいろと考えられると思う。こういう一般財源化的活用について、市長は、どう考えるか。

答弁 ご承知のように、一般財源としては使えないものである。ただ、目的を持って国と協議すれば公共施設やその維持管理にも使えるし、産業活性化や地域活性化のためにも使える。ただ、どう使うかは、基本的な方針が決まってからとなる。

再質 財政は予想以上に厳しくなっている。旧町の上下水道整備にも30〜40億かかるだろう。三中の耐震強度調査の結果次第では、直ちに補強なり建設が必要になる。西小や米田小の建設も急がねばならない。通常の事業に振り向ける「一般財源化的」使い方を真剣に考えていいのでないか。

答弁 企業会計(上下水道の整備を指す)分は、企業努力で解決したいと考えている。

 

〇理不尽な要求はないか

 新聞報道もあったが、近頃、学校や教師に対して理不尽とも言える、常識はずれの要求をする親や保護者が増えてきていると言う。6月18日の新聞記事の例を見ると、@うちの子は自宅でも掃除をさせていないので、学校でもさせないでほしい。A大学進学に必要のない科目の授業は、受けなくて済むようにしてくれ。B子供同士のささいなトラブルなのに、相手の子どもを転校させて欲しいと要求。C学力不足の中学生に、小学生の問題を解かせると、子どものプライドが傷ついたと抗議 Dピアノの技能はうちの子が一番なのに、合唱の伴奏が別な子なのはおかしいと、しつこく抗議。E子どもが自転車でお年寄りに接触する事故を起こした際に、学校の自転車指導に問題があると主張。F担任や校長の自宅に深夜電話し、長時間にわたって学校への不満を述べる。G暴力団とのつながりをほのめかして、要求を通そうとする。H教師を中傷する電子メールを、学校関係者らに送りつける。I気に入らない教師の悪口を子どもたちに触れ回る。などのような状況だと言う。

勿論、理不尽という表現は要求を受ける学校や教師側の受け止め方であり、要求する側はまともな要求だと思っているかも知れない。ただ、マスコミ表現でも「理不尽」の用語を使っていることを考えれば、第三者の目から見ても常識はずれ、それこそ「理不尽」と見えているのだろうか。

 そしてこういう事態に直面した学校や教師は、その対応に、大変苦慮している。簡単に解決できない上、そのための時間がなかなか取れないし、なにしろ常識的な話し合いでも理解してもらえないとなれば、打つ手がない。当事者の苦労は想像以上だと思う。

 横浜市の校長・副校長組合は平成15年度に、また大都市圏のある中学校長会は18年度に、それぞれ保護者対応の課題に関する調査を行った。その結果こうした問題は日常的に起きていることが明らかになった。

 横浜市の小・中学校長の1000人を対象に調査したところ800人から回答があり、そのうち校長の70%割弱、副校長の半数以上が、過去に嫌な経験をしたと答えている。

その回答例を見ると、「きちんと対応したが理解してもらえなかった。」「謝罪を何度も要求された。」「マスコミや警察に訴えると告げられた。」「人格を否定されるような暴言を吐かれた」などとある。

 また、金銭による賠償を求められた例は1割以上あり、そのうち半数以上が支払いに応じたと言う。この調査を担当した横浜市のある校長は、「校長一人の力で解決できない事例もあるので、教育委員会が保護者の意見を聞く窓口を設けるとか、または弁護士に相談できる体制を整備する必要がある。」と指摘している。

 また5月下旬に発表された「教育再生会議の第二次報告案」にも、問題があるとされる保護者の対応に、教育委員会が乗り出す対策が打ち出された。保護者への対応で困っている学校を支援するため、教育委員会に「学校問題解決支援チーム」を新たに設置し、警察官OBや弁護士、臨床心理士なども参加させて、理不尽な要求をする親の対応に当たるとしている。そして、教育委員会をこれまでの「指導する立場」から「共に考え、支援する立場」に転換すると提言している。そこで質問する。

質1 理不尽な要求、困った親などは、市内の学校でも起こっているのか。

答弁 そういう調査は実施していない。

質2 校長会などでこの種の課題について、協議や検討が行われているか。

答弁 学校訪問でも、校長会でも、そういう報告は受けていない。ただ、問題が起こった場合、保護者との連携を深める良い機会と捉えて、よく意見を聞いて、担当機関の紹介や関係機関と連携して対応するように指導していく。また理不尽な要求は全国的な話題なので、将来のため危機感を持って事例研究などを進めていく。

質3 十和田市教育委員会に、理不尽な要求などに対応する窓口、また、支援するチームを設置する考えはないか。

答弁 学校には様々な課題がある。問題が起こった場合は子どもや保護者とも連携して解決に努めている。相談があれば教育委員会としては誠意を持って対応している。

再質 報告がないから「ない」では正確でない。父兄のことで報告しにくいかも知れない。一度きちんと調査してみるべきでないか。

答弁 校長会をとおして調査してみる。

再質 給食費未納のことで、払える経済力があるのに、払わない保護者がいると聞いたことがある。理由で理不尽と思えるものがあるのか。

答弁 当市の場合未納は少ない。でも増加傾向にある。未納者の中には給食に対する理解が不十分なものもあるかもしれないが、理不尽とは考えていない。

 

〇介護保険料 ボランティアで軽減を

十和田市の介護保険料は高い。月額5,770円は、県内で第2位の高さだ。県平均は、月額4,781円だから、およそ000円高い勘定になる。裏返せば、その分利用する市民、即ち、高齢者、身体不自由者が内容の充実したサービスを受けていると言うこともできるが、それは保険料を負担する市民の極一部に過ぎない。

勿論保険制度は、みんなで助け合うところに本質的な意味があり、それを否定する考えはない。或いは視点を変えて、そのことによる効果面を見るとその分、福祉分野での就労の機会を与えたと言うことも出来る。

ただ今の社会の状況から見ると、負担増は、介護保険料だけでなく、定率減税廃止や近年の医療費負担増、その上この地方では景気回復の恩恵もなく収入が伸びず、家計は苦しくなるばかりで、そんな中での介護保険料の引き上げは、負担感をより大きくしている。

ところで、先月初め、厚生労働省は特別養護老人ホームなどの介護施設などで、ボランティア活動をした65歳以上の人の介護保険料を、軽減することが出来るとの見解を各都道府県に通知した。ただ、こういう仕組みを導入するかどうかは、介護保険を運営する各市町村が判断することだ。

この考えは、今後ますます高齢者が増加する中で、この方々の社会参加や地域貢献を促し、高齢者の健康増進を図ること、またボランティア活動をとおして、介護や福祉の現場の実情を理解することから、将来自分自身が介護サービスを受ける身になったときの一助になればとのもくろみもあるようだ。

ボランティア活動に応じてポイントを貯め、ポイントで介護保険料を納めたいと申し出れば、換金して保険料の一部に充てることが出来るというものだ。ただこの制度は、市がやりたいというだけでは出来ない。賛成する施設側の協力、換金元を福祉団体にするのか市がやるのか、単位時間の単価、ヘルパー資格のない一般市民にどの程度の活動内容があるのか。色々と検討しなければならない項目があるからだ。そこで質問する。

質1 十和田市でも、このような仕組みを立ち上げて、ボランティアポイントでの保険料納付を認める考えがないか。

答弁 厚生労働省では、高齢者の社会参加の促進、介護予防などの面から活動を評価し、ポイントを与える事業を、地域支援事業として交付金の対象と認めている。今後、色々調査研究してみたい。

質2 概要を述べたが、稲城市の場合、どのような活動にボランティア活用を考えているか。

答弁 稲城市では、活動としては、イベント、レクリェーション話し相手、外出補助などを想定している。高齢者の1%位の参加を見込み、ポイントによる金額も最大で5000円位を考えているようだ。

再1 何処の市町村でも介護保険料が高くなっている。実施始めの2000年度に比べて二倍になっている。厚生労働省は、コムスンなどの不正請求を契機に、膨らみ続ける介護費用の削減と不正のチェックを目指して、08年度の実施に向けて、今年度中に数値目標を入れた費用の削減計画の策定を市町村に求めている。どう取り組むのか。

答弁 介護の検討委員会で、これから協議・検討していくことになる。従って現時点では数値が決まっていない。

 

上下水道料金の見直し案を説明

旧町の簡易水道施設の老朽化が著しいことから、全面的な改修が予想されている。これには多額の投資が必要で30億とも40億とも言われる。(全体計画が出来ていないので、費用をきちんと積算したものはない。)

こういう事情もあって市では、簡易水道と下水道の料金制度の統一を図り、同時に料金引き上げをせざるを得ないとして、その内容を議員全員協議会で説明した。

引き上げ理由に、次のようなことを上げた。

 

【簡易水道の場合】

・簡易水道の料金は、合併前のそれぞれの料金を踏襲したため、現在時点で、旧町と旧市の料金を比較すると旧市1.8:旧町1.0と旧市の方が1.8倍になっている。

・水道会計(簡易水道を含む。)が、公営企業法の全部適用となっているため、料金収入で事業経営をすることが原則で、安易に一般会計から補助できない。

・一市での2料金制度をいつまでも続けることは好ましくない。批判の声も出てくる。

・今後、旧町の簡易水道を順次改良していく。

 統一により、結果的に引き上げとなる額は、次の表である。

(統一後の簡易水道料金早見表)

(使用水量) (13mm口径) (20mm口径)  (旧町の料金)

103         1,755       1,844     ←   1,050

    15m3         2,716       2,805     ←   1,575

    20m3         3,677       3,766    ←   2,100

    25m3        4,637       4,727   ←   2,625

   30m3         5,598       5,687       3,150

 

【下水道の場合】

また農業集落排水の料金については、

〇旧市が水量に基づいているのに対し、旧町では世帯人数に基づいている。

〇旧市では、公共下水道料金でも農業集落排水利用料金でも使用水量で料金を定め、負担の公平を図っている。

〇休屋地区の下水道は、特定環境保全公共下水のため県の管理であり、すぐには料金統一できないと思われる。料金制度を統一し、かつ引き上げが必要である。

(旧市公共下水・集落排水)と(旧町集落排水・簡易排水)比較

(使用水量) (使用料金) 25%上げ額) (使用水量) (使用料金)

      10m3    1,417  → 1,772円   0m3〜   1世帯割当たり

15m3    2,252  → 2,815円          1,050

20m3    3,087    3,858

25m3    3,921  → 4,901円          1人当たり  

30m3    4,756    5,945円            525

35m3    5,680    7,100

40m3       6,604    8,255

45m3       7,529    9,411

50m3       8,452  10,565

 

県立三本木高校付属中学校入学者

 県内初めての中高一貫教育の実施校に、三本木高校が選ばれ、併設の県立中学校は来年4月の開校を待つばかりだ。そのための入学者選考が行われ、下記のような結果となった。

 この中学校が進学高校に併設されたことで、今後受験戦争の低年齢化、低学年化(小卒段階から)しないかと懸念されている。

来年度入学者の大学受験の頃(6年後)には、教育成果と本当の狙いがはっきりしてくるだろう。

【県立三本木高校附属中学校の小学校別入学予定者数】

◆十和田市

三本木小(男8+女3)11人     北園小(男3+女3)6人

南 小 (男4+女10)14人     東 小(男1+女3)4人

西 小 (女2)    2人     藤坂小(女3)   3人

洞内小 (男2)    2人     松陽小(男1)   1人

ちとせ小(男2+女3) 5人     米田小(男1)   1人

大不動小(女1)    1人

 

◆三沢市

古間木小(男1)    1人     上久保小(女1)  1人

岡三沢小(女1)    1人     三沢小 (男2)  2人

 

◆七戸町

城南小 (女5)    5人     天間西小(女1)  1人

天間東小(女1)    1人

◆六戸町

六戸小 (男3)    3人     折茂小 (男1)  1人

開知小 (女1)    1人     大曲小 (男1)  1人 

 

◆おいらせ町

下田小 (女1)    1人     木内々小(男1)  1人

木ノ下小(男1+女1) 2人

 

◆東北町

水喰小 (女1)    1人     上北小 (男1)  1人

小川原小(女1)    1人

 

八戸市                市野沢小(男1)  1人

◆弘前市                大成小 (女1)  1人

◆三戸町                三戸小 (男1)  1人

◆東京都目黒区             東山小 (男1)  1人

◆国外             ローマ日本人学校(男1)  1人

     この他にも、受験者はいたが入学者がない学校も15校ある。

 

 

参議院選

 社民党青森県連合は、今回の参議院議員選挙で、選挙区には県連合代表(前県会議員)の渡辺英彦を擁立した。また比例区では、全国連合幹事長(現職)の又市征治を重点候補として応援している。

 今回の選挙では、当初安倍総理が、憲法改正を争点にすると述べていたが、直前の厚生年金記録5000万件の不明問題や閣僚の事務所費不正処理問題が、国民の注目を集め、これへの対応に追われたのか、憲法問題には、何処の演説でもほとんど触れていないと報じられている。国の将来を左右する大問題に触れないでおいて、選挙後になって、自民党の選挙公約の第一に掲げたからと言って、改正作業にかかられてはかなわない。

 社民党は、社会党時代から、戦争放棄・戦力不保持の第9条を持つこの平和憲法を守ることを党是として運動を続けてきた。その憲法が、先の国会で国民投票法成立を受け、危うい状況になってきた。3年後には、憲法改正を発議出来るし、安倍総理は発議すると述べている。

 だとすれば、今度の選挙で選ばれる参議院議員は、みなこの憲法改正問題に直面することになる。国の根本法である憲法について、自分の考えをきちんと訴えて欲しいと私は思っている。年金問題も大事だから触れて欲しいし、地方の医師確保問題や将来の消費税、農業のこと、どれも大事だから語って欲しいが、国会議員として憲法問題には必ず触れるべき責務があると思う。

 社民党は、政治の役割は、弱い立場にある方々に応援をして国民みんなが、出来るだけ平等公平に生活できるように政策を進めるのが目的の政党であるから、いつもそちらに目が向く。

 今度の選挙で、是非、社民党を応援してください。

 

ダイオキシンは怖い…@

 第35回日本有機農業研究会全国大会(07.3.11豊橋市開催)の分科会記録を、農民新聞(全日農機関紙)第1749号に掲載したものから、一部抜粋したものである。講演者は、船戸クリニック院長:船戸崇史である。

 

 ダイオキシンは最悪の物質で、毒性が青酸カリより1000倍強くサリンよりも10倍以上強い。

 サリンの無毒化には1日かからないと言われているが、ダイオキシンの無毒化には100年かかる。

 あのサティアンのような設備がなくても庭先で塩化ビニールを燃やせば簡単にできてしまうダイオキシンだが、たった1gで1万人を殺す力がある。

 世界一のダイオキシンの排出国はアメリカで、日本はその半分くらいだがアメリカは国土が広いので、濃度としては日本が圧倒的に高い。

 毒性には急性と慢性がある。慢性毒性は、それが体に入るとガンを発生させたり、アレルギーを起こしたりする。ダイオキシンは肝臓ガン、肺ガン、鼻甲介ガンを有為に増やすことが分かった。

 ベトナムに撒かれた枯葉剤はダイオキシンだったが、ご存じのように、今も被害が続いている。

 ダイオキシンは呼吸からも、皮膚からも、口からも入る。口から入るもので一番多いのが魚だ。原因は様々言われているが一つは農薬でないかという。農薬のほとんどは水に溶けず、油に溶けるので、川の水からは検出されない。川に棲むミジンコなどが体に摂取し、食物連鎖によって濃縮されていく。そのため川が海へ流れ出る付近にいる魚食性、雑食性の魚を食べると一番有効にダイオキシンを摂取できる。(笑い)スズキ、イシモチなどだ。こういう魚食性の魚は250万倍まで生物濃縮されるという。

 ダイオキシンのリスクが少ないのは、日本から少しでも離れた遠洋、航海型の魚で、出世魚ではない1年ものの魚だ。一番いいのはサンマで、アジやサバは中ランクだ。うなぎはダイオキシンが多いというが、私はうなぎが好きで…よく食べている(笑い)。日本人は魚に気を付ければダイオキシンは入りにくい。欧米人だと牛肉やミルクだ。

 しかし、はるかに悪いのはタバコだ。私は、外来の患者さんに「吸うのは構わないが吐くな」と言っている。二次的に肺ガンになる人がいる。だから吐かないなら吸ってもいい。お酒はいくら飲んでも、飲んだ本人が肝臓ガンや肝硬変になるだけだ。

 ダイオキシンのことをいろいろ言っているが、タバコははるかに悪いものだ。おまけに、タバコにも農薬からダイオキシンが入ってくる。葉巻はいいのだが紙巻きタバコがだめだ。まず禁煙これは基本だ。

 私たちは既に最悪物質ダイオキシンを体内に取り込んでいる。

次に体に入ったダイオキシンを外に出す方法を話す。非常に早く、効果的に出す方法がある。それは母乳だ。1年間の授乳でお母さんの体内のダイオキシンの9割は出るが、赤ちゃんにとっては大変な事態である。赤ちゃんの体に入ってしまうから…。

 誰にでもできる簡単な方法は、黄緑色野菜をたくさん摂ることだ。黄緑色野菜にはデトックス(解毒)効果があり、体内のダイオキシンを大量に排出する。そして黄緑色野菜は、明らかにガンも抑制することが分かっている。

 日本ではガンは右肩上がりだがアメリカは減ってきている。これはアメリカの厚労省が提案した「一日に6皿の野菜を食べよう。」という「6ディッシュ」運動の効果だ。ほとんど野菜を食べていなかったアメリカ人が、たくさん食べるようになったら、ガンが本当に減ってきた。ただこれは、それまで偏っていた食生活を改善したからとも言える。

 日本人が長寿なのはバランスのいいものを食べているからだ。さらに解毒作用があり抗ガン作用もあるのが「米ヌカ」である。米ヌカには非常に強力なデトックス作用があることが分かった。私が知り得ているところでは、今のところ、デトックス作用が一番強いのは米ヌカだ。だから昔の人は、玄米を食べたのだ。しかし玄米は好き嫌いがある。私は玄米を5分突きにして出た米ヌカを炒って、食後に大さじで2杯食べている。これで玄米を食べたのと同じにことなる。

 ダイオキシンには、急性、慢性の毒性があるがもっとずっと少ない量で悪いことをしていることが分かった。ダイオキシンは環境ホルモン(外因性内分泌攪乱化学物質)として、精子に作用している。精子の奇形、減少が分かってきている。最初に警鐘をならしたシア・コルボーン博士は、著書『奪われた未来』の中で「環境ホルモンによって人類は滅亡する」と書いている。

 ダイオキシンなどの環境ホルモンは、ごく微量で精子を奇形にしたり、数を減らしたりする。私が医学生として学んだときは精子1cc当たり1億匹だった。その数が1cc当たり2000を切ると正常のセックスでは子どもができないと言われている。それはもうすぐそこまで来ている。今不妊外来は大にぎわいだ。

 10年ほど前、朝日新聞の一面に、あるデータが掲載された(写真)。医学部の学生34人にサンプリングとして精子を出してもらい、そのうち何人が正常精子だったかというもので、結果は34人のうち正常と判断されたのは、たった一人だった。残りの33人の精子はどうして異常になってしまったのだろう。

 その子たちがお腹の中にいた20数年前、ダイオキシンやスチレン(カップヌードルの容器など)、ビスフェノールA(缶ジュースのコーティング)、ポリカーボネート(哺乳瓶や赤ちゃん用カップ)などが環境ホルモンとして作用したと考えられる。また、子宮の中の赤ちゃんは、お母さんの食べたもので影響を受ける。子宮は外の異物に関しては強力なバリアとなっているにもかかわらず、ダイオキシンは生き残りをかけて入ってくるのだ。男子として遺伝子決定されている精巣の細胞を攻撃して、一生精子ができなくなるように攻撃してくる。また、ダイオキシンは脳にも影響することが分かっている。

 これをシア・コルボーン氏は、シングルヒットと言っている。たった一回の食事、たった一本のタバコで、こういう恐ろしいことが起こる可能性があるからシングルヒットなのだ。だから妊娠中のお母さんは、食べ物や空気にも気を付けなくてはならない。

 

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