2008年の6月議会は、6日開会され、市長の提案理由説明を受けて休会した。引き続いて、全員協議会が開かれ、国や県に対する08年度の「重点要望」の説明があり、一日目は終了、7日から16日までは、各常任委員会が開催され、付託案件の審議や採決が行われ、17日の故久保佐仲太氏の市民葬を挟んで、18日と19日に一般質問、24日議案に対する質疑・採決を経て閉会した。(以下、杉山道夫の質問と議会の様子を報告する。)

 

1、学校支援地域本部方式について

 

  子供たちの育つ環境が大きく変わってきています。少子化で人数が減り続け、周辺集落の小規模校では、どこでも複式学級があたりまえになり、学習もスポーツも一定程度制約的に行わざるを得ない状況になっています。もちろん小規模校には小規模としてのプラス面もあるわけですが、この流れに歯止めがかかっていません。

  また、校内の生活面を見ても、子供同士の傷害事件の発生や学習が成立しないような多動的な子供の存在、不当と思われる要求を突きつける保護者の出現など、教育面での困難度も高まっています。その上に、登下校時の連れ去りや悪質ないたずらなども度々発生し、関係者を悩ませています。

  このような情勢を受けて、文部科学省は、これまでの保護者で組織するPTA中心の学校協力団体に加えて、地域の各種の専門家や教員OB、ボランティアの活用、町内会やスポーツ指導者組織などを総合的に活用する学校支援地域本部事業を今年度から始めました。

  小規模校では、これまでも保護者だけではなく、地域の町内会役員なども含めてPTAを組織して学校での基本である教科学習を始め、運動会、学習発表会、校外体験学習など、様々な事業を支えてきた実績はありますが、大規模校も対象にして、全国でこのような取り組みを目指す試行に着手したのです。

  今の学校は、例えばスポーツを見ても、サッカー、野球、ミニバスケットなど、以前よりレベルがアップして、高度で専門的な技術指導が求められており、教員だけでは対応しきれない状況を呈しています。また、子供に係わる事件・事故を見ても校内だけでは防ぎきれない登下校時の発生もあり、地域全体で子供を守るような取り組みが必要となっています。このように学校での教科学習だけではなく、広い場面で多岐にわたる支援が求められているのです。そしてこれに応えようとしているのが、今回の「学校支援地域本部事業」です。

  文部科学省の計画では今年度、このような組織や支援事業体を、全国1800カ所に置く方針です。 

 そのための予算も50億ほど計上しています。従って一地域本部に対し4〜500万ほどの財源支援をするものと思われます。

 さて、受験を目指して塾へ通う子供が多数いることから、校内で学力を高めるために民間のような「塾」を開くことで、話題をはせた東京都杉並区の和田中学校が、この面で最先端を走っているようです。和田中では、この4月から区のPTA協議会からの脱退を決めました。PTAは地域の協力者で作る「和田中地域本部」の一部門となって、今後も学校を支える組織として活動していくようです。

 PTA会長は選ばず、世話人のような役員を置き、前のPTA会長は、地域本部の事務局長に就いて

 これまでのように、学校を支える中心的立場で協力していくということです。和田中の場合、PTA役員のなり手がないことやなったらなったで、あまりに会合が多くてそれに時間を取られて大変だという事情もあったようですが、惰性で組織され、惰性で活動しているPTAであれば、改善・改革の契機になると思います。

  そこで、当市の教育委員会は、この問題に対して、どのように対応しようとしているのか、何点か質問します。

質1 当市の教育現場、教育環境、現今の教育事情から、この「学校支援地域本部」事業に対し、どのような考えを持って受け止めているのか。

答弁 教育委員会は学校と地域が一体となって、学校教育を推進することは大切と考えている。各校では、PTAや地域の方々、関係機関、関係団体と連携して、ベストティーチャーや安全パトロール、図書館ボランティアなどの活動を、各学校が主体的に計画して行っている。

   現時点では、これらがスムーズに行われており、改めて学校支援の組織をつくる必要性は感じていない。

質2 青森県内の応募状況や実施市町村、実施地域はどうなっているのか。

答弁 県内の実施市町村は12市町村で、教育事務所別では、東青は4町村、西北は2町、中南は1町、上北1町、下北2市村、三八は2市町。

再1 今後のため、関係団体、例えば、PTA,校長会、連合町内会、スポーツ団体、教員OBなどとこの問題について協議してみる考えはないか。

答弁 これまで、各校とも地域の関係者の協力をいただきながら実践してきた蓄積がある。これをより高めるが大切で、全市一斉に別組織を作ることは、果たしてどうかの気がする。しかしご指摘の点も踏まえて、より質が高まるように努力をしていきたい。

 

2、諸物価高騰に対する対策及び建設資材急騰での公共事業費上乗せについて

 

  ガソリン価格が高騰し、多くの国民は厳しい日々の生活の中で、出来るだけ車に乗らないようにと努力をしていることが報道されています。4月に入って一時ガソリン税の特別措置という上乗せ部分が日切れとなり、安くなって喜んだのも束の間、自民党の強引な再議決で元の黙阿弥となりました。

  この半年で、ニューヨーク市場での原油価格は1バレル140円に迫るほど急騰しました。私たちの周りで起こっているガソリンの価格の急騰を見ても、去年まで1リットル:140円台であったものが

 今は180円、200円になるのでしょうか。

  612日に記者会見した経済産業省の北畑隆生事務次官によると、石油の場合は、需給関係から考えられる価格は、せいぜい1バレル60ドルまでなら説明がつくが、130ドルは考えられない。

 明らかに、アメリカのサブプライム住宅ローン問題をきっかけに、金融市場の混乱が続き、行き場を失った投機マネーが流入した結果、出てきた影響だろう、と述べています。

  また、これと時宜を合わせるように穀物価格も高騰しています。こちらは世上言われていることは、社会の発展や工業化の進展でCO2排出が過剰となり、地球の温暖化が進み、異常気象、内陸の砂漠化、海水の上昇など、あちこちに弊害が出て来ているから、CO2の削減を図らなければならない。そのためには化石燃料の消費量を減らし、バイオ燃料など植物性の燃料に移行することが重要である。そこでトウモロコシなどの穀物がバイオ燃料に向けられ、需給関係が崩れて品薄となり、穀物市場の価格が急騰という流れのようです。ちなみに、07年後半から08年前半の世界の穀物期末在庫率は、153%となり、2000年の30%から急落しています。これを反映してシカゴ穀物市場では、トウモロコシ価格がここ数年で3倍になったというのです。

  また、中国やインドなどの人口大国が、経済の発展で食料品質が高級化し、結果として穀物消費が増大し、これまで食料輸出国であったところも輸入国に変わったりして、それぞれに国内食料確保のため、輸出規制を強めていることや異常気象の多発なども、理由に挙げられています。

それに此の頃は、石油市場と同じように穀物市場にも投機マネーが入り、需給関係以上に高騰しているのだとも言われています。

  このように、経済産業の基盤である燃料や穀物価格の高騰は、国内の全産業に影響を与えています。

 輸送・運搬、燃料に関係のない産業などあり得ないでしょう。全産業が影響を受けます。穀物価格の高騰は、食料・食品産業に響いているし、国民の食生活に直結して影響が出ています。

  また、建設資材も中国の建設ラッシュの影響を受けて、鉄鋼類を初め、我が国では、リサイクルで集めた資源ゴミ類の価格さえも高騰しています。

  こういう中での国内経済は、中央では戦後最大の好景気と言われながら、近頃は景気の停滞や後退も心配されていますが、地方での景気や内需はさっぱり拡大していません。従って、地方の産業界は、どの分野でも大変厳しい経営環境下にあります。

  そこで、これまでの質問にダブらないようにしながら、何点か質問します。

 

質1 畜産業に関して、飼料価格の高騰状況とその影響、対策はどうなっているのか。

答弁 平成18年当初は、工場渡し価格で、1t当たり43,000円ほどでしたが、その後、燃料用エタノール生産向けのトウモロコシ需要の増加により急上昇し、19年1月には50,000円、20年1月には58,000円まで上昇、20年4月〜6月期には63,000円ほどに上昇している。これは18年当初に比べ1.5倍である。その上、原油や諸経費の値上がりで生産コストが15%上がり、畜産農家は負担増に苦しんでいる。

   我が国の飼料自給率は25%程度で、飼料コストは国際価格に左右される。国内自給率を高める工夫として、稲加工飼料や飼料稲の生産拡大、放牧の利用拡大、食品残渣の飼料化などを推進し、同時に、畜産・酪農緊急対策などを活用していく。

質2 建設業に関して、資材の高騰状況は、どのように進んでいるのか。

答弁 主要資材の鉄筋及び鋼材は、西小建設の入札が行われた2月と5月の比較で、最も使用量が多い直径13ミリの異形鋼棒で、トン当たり22,000円の増加で27%の上昇、また、最も使用量の多い高さ70センチ、幅30センチのH型鋼材では36,000円の値上がりで37%の上昇だ。

質4 建設資材の高騰の場合、請負契約では、どういう取り決めになっているのか。

答弁 賃金や物価の急変時の契約金の変更は、契約書の第25条に規定されており、デフレやインフレ、資材価格の急変時には、市と業者の協議で変更できることになっている。市場では、一部の資材が1月から連続上昇中であり、国や県の動向を見極めて対応する。

質5 現在進めている西小建設への影響がないのか。

答弁 西小建設に関しては、既に建設資材を確保しているとの報告を受けており、直接に影響はないと考えている。

再1 建設資材単品の価格急騰の場合、対応が決まっているのか。

   国は資材単品価格高騰にも対応するようだが、その場合、市はどうするのか。

答弁 現在は、新聞報道による情報収集で、国や県から具体的な適用ルールの説明は未だない。

 

 

 

 

3、伝法寺の産廃等の焼却・焼成施設のこれまでの経過と今後の対策について

 

  これまで度々議場でも取り上げられてきた、伝法寺金目地区に建設が予定されている産業廃棄物の焼却・焼成施設の建設計画は、県の許可もおり、いよいよ本格的建設を迎えようとしています。

  しかし残念ながら、未だ地元住民の納得や理解が完全に得られた訳ではありません。現在も、県の建設許可処分に対し、処分取り消しを求めて「審査請求」や「異議申し立て」が行われています。

  この種の問題は、出来るだけ、関係者間や地域住民の理解・納得・合意の下で、実行されることが将来のためにも望ましいと思うのですが、現実は必ずしも、そのような進み方をするとは思われない状況にあると思います。

  行政的にはただ一度の許可で終わってしまうでしょうが、地域住民にとっては、これから半永久的に、煙をかぶり、臭いをかがされ、騒音を聞かされ続けるのです。そればかりか常に煙に悪い物質は含まれていないか、悪臭が出ていないか、何も見えない、感じない時でさえ、有害物質が出ているのではないかと気がかりだし、運搬車両で事故が起こらないか、と心配は続くのです。そう考えると、地域の皆さんの反対する気持ちも、私はよく理解できます。市長も、担当課の職員も、この地域住民の心情を十分理解し、出来る限りの配慮をすることが絶対に必要だと思います。

  これからのこの問題についての市の仕事は、公害防止協定の締結に絞られると思います。地域住民の心配や要望を、どのように取り入れ、少しでも理解を得られる内容の協定を結べるかだと思います。

  建設許可が下りたと言うことは、計画書では少なくとも国内法に定める各種の排出物の基準・規制をクリアしているということを意味します。その通りでしょう。しかし、公害発生の多くは、施設の老朽化が進んだ頃とか、経営が順調でなくなり、当初計画の通りに維持管理が出来なくなったとか、

 法が期待している公序良俗に反しない経営姿勢が崩れたときとかに出てきます。従って、協定を結ぶに際して留意する点は、そういう将来を想定しても、なお十分に、法律の求める規制や住民の心配・要望に耐えられる内容を持ったものでなければ意味がありません。

  特に、処理が予想される田子町の県境にある産業廃棄物は、医療廃棄物始め、科学性の廃棄物など

 ありとあらゆる種類の廃棄物が含まれているのでないかと見られており、有害な水銀類、規制強化前のアスベスト、廃棄後の物質同士の化学反応による新たな不明物質、ダイオキシンなど、高温で焼却すれば毒性を排除できると言っても、廃棄状態のままの運搬中での漏洩や汚染、堆積中の飛散などと地元住民から見れば、心配の種は尽きないのであります。

  こういうことから、当市でも「生活環境保全条例」を制定して、市民の安全な生活を確保する観点から、強い権限を発動できる内容を定めています。しかしこれとて、市長や担当課職員がどのような姿勢で対応するかによって、結果は大きく異なってきます。

  もちろん建設する会社側にも、不当な制限や要求を拒否する権利や企業として健全な運営、法令や公序良俗に反しない限り自由な経営が出来るわけで、この中で、どういう内容の協定を結べるかは、努めて担当者の行政応力に係わることだと考えます。この件に関して、すばらしい能力を発揮されることを期待しつつ、以下、これまでの経過と今後の公害防止協定締結に向けて、何点か質問します。  

 

質1 これまでの経過だが、地域住民らは建設許可申請の縦覧期間後に、建設地の気象状況把握に援用した青森測候所のデータより、八戸測候所のデータの方が、同じ県南地域である建設地の気象状況把握データとして、類似精度が高いと指摘していた。これは県の専門家会議の中でどのように扱われたのか。

答弁 県に問い合わせたところ、事業者は、地域住民から出された疑問点を確認する必要があるとして、早速、八戸測候所のデータを使用してシュミレーションを行い、その結果を環境影響調査書に追加修正して、県の専門家からの了解を得た。とのことだった。

質2 地元住民らは建設反対の姿勢を崩していないようだが、建設許可が下りた以上、法令規定に準拠しておれば、いずれ公害防止協定締結の場面に入らざるを得ないと思う。そこで、これまでの質問でも出ていた、三者(建設会社・市・地元住民)での協定を結ぶ考えがないか。

答弁 市は、環境保全条例第7条に基づき、市内13事業所と市の二者で公害防止協定を締結している。従って今回も、地域住民の意見も考慮した上で、二者(市と事業者)で締結したいと考えている。

質3 また、市として、この種の協定を結ぶに際し、生活環境保全条例を定めている立場から、協定に入れるべき必須項目があるのか。

答弁 市が協定に入れたいと考えている項目は、大気汚染防止対策、水質汚濁防止対策、悪臭防止対策、騒音防止対策、土壌汚染防止対策、廃棄物対策、場内環境の整備、場内の管理運営、公害防止の管理体制、交通安全対策、自主管理測定、事故の対策、公害苦情の処理、損害賠償、立ち入り検査、交渉等の項目である。

質4 施設建設のためには、市として、建設地域を都市計画上、建設適地としての認定が必要だが、

  このための会議が大変短時間で審議終了し、また、その翌日が県の審議会があらかじめ決められていたなど、各委員が議案を十分熟慮、調査する時間も与えないような「都市計画審議会」の持ち方では、市民の付託に十分応えられない、形式的な会議運営になっているのでないか。

答弁 伝法寺金目地区の焼却施設の対象品目は、一般廃棄物と産業廃棄物の二種類だが、一般廃棄物については、市の都市計画審議会の議を経て、県知事が許可することになっている。一方産業廃棄物については、県の都市計画審議会の議を経て県知事が許可する。従って、県と市の都市計画審議会は上下関係にない。

   また市の審議会開催では、事前に議案を配布し、議案の概要を説明している。

質5 今後、協定締結に向けて、具体的にどのような手順、方法で進めるのか。

答弁 市は、13件の公害防止協定を締結しているが、今回のような大規模な廃棄物処理施設は初めてである。そこで、県との協議や類似施設のある他市の協定内容を参考にして原案を作成し、事業者、地域住民の意見を聞き、調整しながら、操業前までに締結したいと考えている。