十和田地区食肉処理事務組合議会は、2月26日に招集・開催され、会期を一日間とし、平成20年度予算を審議・可決して閉会した。

 杉山道夫は、この議会でも所管事務に対する一般質問を行ったので、質問の要旨と答弁を掲載・報告する。

 

1、近い将来の施設、設備の改修や更新の必要性について

 

 小泉、安倍と続いた内閣は、同じ自民党政権でありながらも、特に、改革、市場主義に徹して、規制を緩和し、強いものが勝つのは当然と競争第一主義を貫いた内閣であった。その結果は、誰もが認める中央と地方の格差拡大、業種間の格差拡大、不安定労働者の拡大など、社会不安を増大し、今度の福田内閣では、この行き過ぎを穴埋めする政策の推進を余儀なくされている。

 

時代や状況が変われば、これに対応した対策を採るのは、中央政府でも地方自治体でも、また、企業においても、ごく自然な成り行きだと思うが、どんな改革、変革の場合でも、常に、そこには人間、国民、市民に向けた視点がなければならないと、私は考えている。国家や社会が国民のために存在し、国民の幸せを願って運営されている以上、時々に打ち出される政策によって国民がどうなるかを考えないと、本旨を失った改革や対策となり、国民の支持を得られないものとなるだろう。

 

競争第一主義には、経済効率では優れた点もあるが、残念ながら人間に向けた優しさの視点が欠けやすいか、時によっては無くなっていることが多い。だから、どんなに虐げられた人々がいても、これに目を向けず、自己や自己集団、自己体制、自己企業のみを最優先にした改革や政策が進められることになるのだろう。

 しかし、彼らは言う。国民の幸せを願って進めていることだ。今これをやらなければ、将来もっと大変なことになる。だから改革するのだと…。でも私には、将来の国民の幸せを願って、今の国民をいじめ、虐げて良いのだろうか、と思えてならない。

 さて、当組合の事業を取り巻く環境も、大きくは世界の異常気象や諸外国の農畜産物の動向、それを受けての我が国への攻勢、政府の掲げる行財政改革、国内景気の動き、国民の生活力低下、安全を重視する消費者の要求などの影響を受けつつ、今日まで営まれて来ている。

 本年度に入って、新議員に向けた、議会全協での事務局の説明資料から経営状況を見ると、平成18年度は頑張って節約に努めたようで、初めて172万ほどの黒字を計上している。提示された資料は、平成10年度から18年度までの損益計算書だが、分かり易い比較のために、と畜頭数の動向が似通っている平成13年度からの動きを追って分析してみたいと思う。

 

 13年度の豚換算と畜頭数は19万2100頭、これの営業収益と分担金収入の合計で

6億2300万の収入に対し、支出は、人件費3億3900万、物件費2億2500万、営業費用6億6200万、営業外費用3000万などで、計6億9100万となり、差引6700万の赤字となっている。

 

 これに対し18年度は、豚換算で19万7600頭と5500頭増え、これによる営業収益は、何故か減って5億3700万、分担金など加え合計5億8400万と13年度比で4000万の減となっている。一方支出では、人件費3億500万と3400万の縮小、物件費は1億6900万と5600万の減、営業費用は5億6500万と9600万の減、営業外費用は、1600万と1300万の縮小で、全体としては5億8200万となり、13年度比1億1000万の減である。

 即ち13年度と18年度を比較すると、18年度は収入で4000万減ったが、支出ではそれ以上の1億1000万減となり、結果として7000万好転した。だから13年度6700万の赤字だったが、18年度は300万の黒となった。今は端数を省略して概数で述べたので、実際は172万の黒字だった。と言う内容である。

 

 18年度末の貸借対照表を見ると、現金預金が3億7000万、少額でも黒字を出していけば、減価償却費が9200万だから、19年度末には4億6000万の現金・預金を持つことになり、累積赤字2億4300万でも、22年度以降になれば、企業債償還額も

5000万台、4000万台と減少していくので、事業の運転には心配いらないと思う。しかし、新たな施設や設備の必要性が出てくるようだと、この見通しもがらりと変わってしまう恐れがある。

 

質1 そこで聞きたいのは、当組合の施設や備品など、古い物では事業開始の昭和40年代初めの物もあり、相当に老朽化が進んでいるのではないかと思う。

将来の経営状況を予測する場合、近い将来、改修や更新にどのように対応するかで随分結果が違ったものとなる。

そこで、施設・設備がどういう状況にあるのか。そして今後どのように対応しようとしているのか。方向性をお聞かせ下さい。

答弁 当センターの施設・機械器具は、大きくは昭和43年度の開設当初からの施設、昭和60年度の部分肉処理施設や浄化槽の増設、平成5年度の管理棟の新設、また平成11・12年度の国産食肉産地体制整備事業による、小動物処理施設や内蔵加工施設が主なものである。

   それぞれの施設・機械器具等については、日常の保守点検や定期的な整備につとめ、

  と畜業務に支障がないように維持管理しているが、施設の老朽化によって改修を要するところ、更新が必要な機械類、さらには食肉衛生検査所の衛生監視で指摘のあった改善事項など、施設・機械類に改修の必要なものが多く発生してきている状況である。

   このため当食肉センターでは、施設・機械器具について「十和田食肉センター施設・機械器具整備計画」を作成し、平成20年度から22年度までの3カ年で、衛生面を主とした改修等の整備を行うことにしている。

 

2、効率化のための職員の技術力の継承と向上策について

 

 今、経営の状況を見てきたが、関係者の努力の跡が良く見えると思う。しかし、可能な限り、このような企業体はコスト削減に努めなければならない運命にあると思う。先ほど申したように、コストダウンは、結果として畜産農家に好影響を与える条件を作り出すし、ここで働く職員に目を向ければ、安定的な職場の確保にもつながると考える。

 と殺・畜殺、解体などの技能は、取得や維持の困難度がどの程度なのかは分からないが、良質の肉類を生産するには、それ相当の技術力が必要と推察できる。と殺、解体等に従事する業務職員数を見ると、ここ数年正職員は年々減少し、非常勤職員がこれに反比例して多くなっていくようである。この場合、良質、上質の技術・技能が保たれるのか、うまく継承できていくのか、心配である。正職員として長期間、安定して従事できるのであれば、計画的に技術・技能の確保、継承も比較的容易のような気がするが果たしてどうだろうか。

 また、と殺、解体の作業説明書を見ると、大動物と小動物の二本レーンで行っているが、と畜頭数を見れば、圧倒的に小動物の方が多い。大動物は多分大きい分解体時間も掛かるのだろうが、作業工程を見ると、どちらも16工程の作業があり、それなりの人員配置をしていると思う。しかし、そこに無駄がないのか、大動物の搬入が極端に少ないときは、職員配置をどうしているのかと気に掛かる。このような場合、大動物の解体技術と小動物の解体技術の両方を持っていれば、効率的な人員配置が可能でないかと言う気がする。

 

質1 非常勤業務職が多くなっていくが、この場合の技術の習得、継承、良質な技術力の確保は、どのように行われているのか。

答弁 現在、作業員は正職員10名、非常勤職員32名、パート職員3名の合計45名の配置である。

   正職員は全員が30年以上の経験者で、作業全般の技術力を持っている。一方、非常勤職員は、パート採用からの経験を含め、10年以上の者が16名、5年以上の者が9名、その他の者が7名いる。このうち10年以上と5年以上の25名は、基本的技術を習得しているので、現在は解体作業に支障はない。

   なお技術習得には、6ヶ月から1年くらいかけて、解体の基本であるナイフの使い方、機械類の扱い方などを指導している。

質2 大動物、小動物の両方の解体技術の習得は、難しいことか。両方出来る者はいるか。一方の仕事量が少ないとき、他方に回すことは出来ないことか。

答弁 大動物の解体作業は、一人で7〜8工程を処理しなければならない。小動物の解体作業はオートラインのため、一人1工程処理の流れ作業である。また使用するナイフ

  や機械類の扱いに多少の違いがあり、両方を習得するには時間がかかる。現在、作業経験の長い6〜7名が両技術を持っているので、と畜頭数の状況に合わせてラインを移動して解体作業に就いている。

3、ISO認証を取得する考えはないか

 

昨年から今年にかけて、食料の偽装問題が多発し、大きな社会問題となり、企業の代表がテレビの前で頭を下げる映像が何度も放映された。その結果、恒例の年間を締めくくる一文字に「偽」の字が登場するなど、その影響の大きさを物語っている。

ところが今年に入っても、中国産ギョーザに猛毒の農薬が混入するという問題が発生し、今も未解決のままで、消費者の不安は募っている。

当事務組合に関わる問題としては、BSEの発生もまた、同じような性質の問題と見ることが出来ると思う。

さて、我が国の今の食料の現状を見ると、カロリーベースで自給率40%が示すとおり、その多くを外国にゆだね、それぞれの国で、どのような生産管理、製造管理、衛生管理が行われているのか、よく分からないままに輸入し、国民の口に入っていることを考えれば、恐ろしい気がしてならない。だから、同時に、消費者の食料の安全に対する関心も高く、出来れば安全なものを食べたいとの要望も強く、家計が許す限りは少々高くても、安全な食料を求めている実情がある。

このような動きは世界的傾向であり、消費者や購入者に安全、安心を提供する目的で、ISOの認定、即ち、International Organization forStandardization という世界に共通する標準規格を設定し、これに合格する、これに沿って生産、製造、管理していることを認定して貰うことで、商品の安全、安心を提供するという制度である。

この認定を受けることで、その企業、団体に対する、関係業界や消費者の信頼は高まり、企業は安心して取り引き出来、ほかと比較しても優位性があり、企業にとってもプラスになることから、取得企業がどんどん増えているのが現状である。そこで伺う。

 

質1 当事務組合の業務内容から考えれば、ISO9001の品質マネジメント、ISO14001の環境マネジメント、ISO22000の食品安全衛生マネジメントなどが考えられるが、これらの取得に取り組む考えはないか。

答弁 ISO認証を取得することは、当食肉センターはもとより、センター関係者や一般

  消費者に対し、品質の向上、環境に取り組んでいるイメージ、また、食品の安全性をアピールすることが期待でき、望ましいことだが、現在当センターでは、と畜場法で定められた衛生管理を徹底するため、これまでの作業マニュアルを見直して食品安全

  システム構築のため、HACCPの考え方を基本とした「と畜解体衛生管理作業標準」を作成中である。この「衛生管理作業標準」に基づく作業員の教育や施設・器具等の整備を行い、衛生管理の徹底を図り、その後2〜3年の実績を踏まえた後に、ISO問題に取り組みたいと考えている。